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今回ご紹介するコースは、日本語で紹介している本など見たことがなく、しかし私にとってはとても大好きなコースなので、是非詳しく紹介してみたいと思い纏めてみました。是非ご覧ください。
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東側にはバディア谷、西側にはフネス谷を見下ろすプティア山※1は、ドロミテの北部に位置する独立峰です。山の北側にあるエルベ峠※2から歩き出し反時計回りに回るコースをご紹介します。
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ご紹介前にご説明しておかないといけないことがあります。この地域はドロミテの中でも特異な場所で、古くからこの土地の言語であるラディン語、現在ここはイタリアなのでイタリア語、そしてかつてはオーストリア、チロル州の一部であったため、今でもドイツ語を話す人が最も多く住んでいます。その為、道路標識も3言語で書かれていることが多く、地名も3種類あることが多くあります。
今回はイタリア語で統一して書いていきたいと思います。地名の後に※数字を表記しているものは下記でご説明しています。
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まずこのエルベ峠には道路を挟んでプティア山の反対側(北側)に3星ホテル、ウティア・ド・ボルツ/Utia de Borzがあります。ウティア/Utiaという単語はラディン語で、山小屋に使われています。このホテルも山小屋風ということなのですが、ホテル内はとてもきれいで快適で、食事もとても美味しく、さらに真正面にはプティア山の迫力ある絶景があります。日本では全くと言っていいほど知られていませんが、私のお勧めの宿です。
- ホテル・ウティア・ド・ボルツ
- ホテル・ウティア・ド・ボルツ
- ホテル・ウティア・ド・ボルツ
- プティア山(2875m)ホテル・ウティア・ド・ボルツのバルコニーから
- ホテル・ウティア・ド・ボルツ
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それでは今回の主役の山、プティア山(2875m)、ハイキングの始点はその北側に位置するエルベ峠(2006m)です。まず最初の歩き始め直ぐの場所にプティア山をきれいに望める場所がありますので、是非ここで写真を1枚撮っておきましょう。そして、広めの林道を進みムン・ド・フォルネッラ小屋/ Munt de Fornella(ドイツ語・イタリア語)(2080m)まで緩やかに登ってゆきます。正面にはプティア山が望めます。山小屋のあるところから林道は左右に分かれています。今回は反時計回りなので、右へ進みます。10分ほど歩くと林道から登山道に変わります。
- イタリア語、ドイツ語、ラディン語で書かれた道路標識
- エルベ峠を歩き始め直ぐのプティア山の展望
- エルベ峠~ムン・ド・フォルネッラ小屋間の林道
- プティア山
- ムン・ド・フォルネッラ小屋付近の道標
- ムン・ド・フォルネッラ小屋から右へ
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ここから峠のフォルチェッラ・ド・プティア(2357m)※3までプティア山西麓の登山道、標高差約330mを約1時間少しかけて登ってゆきます。後半勾配がきつくなる付近は、7月くらいはまだ残雪があることも多く、足元には気を付けましょう。また途中振り返るとオーストリア・チロルのツィラータールの山々も望めます。
- プティア山西側の登り
- プティア山西側の登り
- プティア山西側から見たツィラータールの山々と氷河
- プティア山西側の登り
- プティア山西側の登り
- プティア山西側の登り(残雪時)
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峠のフォルチェッラ・ド・プティアで一息つきましょう!ここからはプティア山南東麓に広がる高原、バディアの谷、プエズ山群などとても素晴らしい眺めを楽しめます。ここからマルガ・ヴァラキア※4を経てゴマ分岐までの眺めはこのルート最大の魅力です。
- フォルチェラ・ド・プティア(2357m)
- ジェノバ小屋とガイスラー山群(左側)~ポマ峠(2340m)から
- プティア山南麓の蜂蜜の販売
- プティア山南麓
- プティア山南麓の高山植物(7月上旬)
ここから3方向に道は分かれます。左はプティア山登頂ルート、右はジェノヴァ小屋※5を経てフネス谷へ下るルート、直進が今回の1周ルートになります。ガイスラー山群の尖った峰々を眺めるには一度ジェノヴァ小屋方面へ進み、途中から1周ルートに戻る道もあります。
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それでは直進ルートですが、最初1㎞ほど下った後はなだらかな林道を進みます。休憩から1時間ほどで、マルガ・ヴァラキア(2090m)に到着します。こちらではランチを提供してくれますので、ここでランチをする行程を組むのが良いでしょう。
- マルガ・ヴァラキア手前の牧草地
- マルガ・ヴァラキア(昼食時)
- マルガ・ヴァラキア
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ランチの後は北東へ進みゴマ分岐(2101m)から左(北西)へ向きを変えウティア・ド・ゴマ/Utia de Goma(2030m)を経由し、最初の分岐にある小屋、ムン・ド・フォルネッラ(2080m)まで戻ってきます。ここまでは比較的緩やかな登り下りを繰り返す歩きやすいルートです。
- ゴマ分岐(2111m)
- ウティア・ド・ゴマ(2030m)前の道
- ウティア・ド・ゴマ(2030m)
- ムン・ド・フォルネッラ(2080m)
- ムン・ド・フォルネッラ(2080m)
- ムン・ド・フォルネッラ(2080m)
最後はホテル・ウティア・ド・ボルツへ最初来た林道を戻ってゆきます。
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▼こちらにハイキングコースの地図をあげておきます。
所要:約5-6時間、距離:13㎞、標高差:登り/下り555m
PASSO DELLE ERBE HIKING MAP
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▼この次のブログもドロミテのご紹介です。
オドレ山群直下を歩くハイキングルメ・ルートのご紹介
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▼その他、こちらのコースを含むドロミテのプランです。
グランド・ドロミテ・ハイキング
●地名の解説
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※1 エルベ峠(2006m)
- パッソ・デッレ・エルベ/Passo delle Erbe(イタリア語)
- ヴュルツヨッホ/Würzjoch(ドイツ語)
- ジュ・ド・ボルツ/Ju de Börz(ラディン語)
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※2 プティア山(2875m)
- サス・ド・プティア/Sass de Putia(イタリア語)
- パイトラーコフェル/Peitlerkofel(ドイツ語)
- サス・ド・プティア/Sas de Putia(ラディン語)
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※3 フォルチェッラ・ド・プティア(2357m)
- フォルチェッラ・ド・プティア/Forcella de Putia(イタリア語)
- パイトラーシャルテ/Peitlerscharte(ドイツ語)
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※4 マルガ・ヴァラキア(2090m)
- マルガ・ヴァキアラ/Malga Vaciara(イタリア語)
- ヴァキアラ・アルム小屋/Vaciara Almhutte(ドイツ語)
- ウティア・ヴァラキア/Utia Vaciara(ラディン語)
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※5 ジェノヴァ小屋(2306m)
- ジェノヴァ小屋/Rifugio Genova(イタリア語)
- シュレター小屋/Schlüterhütte(ドイツ語)