オーストリア・チロル州（北チロルと東チロル）とイタリアの南チロルは、かつてはひとつのチロルでした。その北チロルのエッツ谷の最奥に位置するフェント村（１９００m）と南チロルのシュナールス谷は、今も昔も変わらず牧羊文化で深く繋がっています。今も続くこの伝統的な牧羊文化を垣間見れるルートを歩き、その素朴な生活や歴史を感じていただき、オーストリアからイタリアへと国境を越えて歩く旅です。途中１泊、快適で展望の良い山小屋にもご宿泊いただきます。

■羊の移牧について
　毎年６月中旬頃になると、約３-４０００頭の羊たちが、イタリア側のシュナールス谷からオーストリア側のエッツタールの奥にあるフェント村付近へと移動し、フェント村には雪のない期間中滞在し、再度高所で雪が降り始める９月中旬頃になると、イタリア側のシュナールス谷に戻ってきます。この移牧文化は、記録上は８００年前から続いているとされていますが、実際はもっと古くからのこの地に住む人々の移牧文化として定着していたと言われています。

　この移牧は、夏の間、地中海性気候のため乾燥して牧草が枯れてしまうアルプスの南側、イタリア北部のシュナールス谷の羊たちを、北側の峠（国境）を越えた牧草が豊富なオーストリア側のエッツ谷へ移動し羊たちが夏を過ごすという文化です。

　北側の国境からフェント村へは、ニーダー谷とローフェン谷の二つの谷を通り、最終的な合流地点がフェント村／Ventとなります。そのためこの移牧も２方向からの移牧が行われます。

　２０２３年のスケジュールは未定です。例年通り開催なら下記の通りとなります。
ニーダー谷
　２０２３年９月９日（土）
　フェルナーグト村／Vernagt（独語）、ヴェルナゴ村／Vernago （伊語）（１７００m）
ローフェン谷
　２０２３年９月１０日（日）
　クルツラス村／Kurzras（独語）、マソ・コルト村／Maso Corto（伊語）（２０１１ m）

　移牧の開始は毎年６月中旬に行われ、戻ってくるのは９月（上記）となります。特にこの秋に羊たちが戻ってくる日はシュナールス谷のフェルナーグトやクルツラスでは賑やかなお祭りが開かれ、観光客や村人たちが、ビールを飲みながら羊たちの下山を待つ光景が見られます。

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　walkworld@atabi.co.jp
　（担当：井上）