イタリア北部の世界遺産地区ドロミテ

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    また間隔があいてしまいましたが、お久しぶりです、こんにちは。 2023年7月にまいたびさん(毎日新聞旅行 東京)がドロミテト・レッキング・ツアーをwalk-world手配で催行していただきました。
    コロナ禍で間隔があき、今年は久しぶりのドロミテ手配になりましたが、コロナ前と比べると、どこもたいへん混んでいて、人気の場所へは出発時間を早めないといけない日もありました。
    といった感じで、現在3本の動画をUPしていただいています。残り2本作成予定ということです。今回天気も良くうまく編集していただいているので、この動画をご覧になられ来年さらに参加されたいとう方が増えることを願っています。
     かなり久しぶりの投稿になります。 なんとかコロナ前の状況で海外旅行ができるようになってきたものの、航空券の高騰や現地費用の高騰で旅行代金も随分上がってきてしまいました。 そんな中、まいたびさん(毎日新聞旅行 東京)がドロミテハイキングのツアーを募集しています。
    このコースは、まいたびさんが企画して walk-world が手配している内容です。観光旅行でコルチナ周辺を訪れるだけのプランとは異なり、ドロミテの西から東のハイライトをハイキングできる魅力的なプランです。
    ドロミテは岩々しているイメージですが、写真のように高山植物にもたくさん出会えます。そう、迫力あるドロミテの山々、美味しいイタリア料理、ハイセンスなクオリティ高いホテルなど、おすすめポイント満載なプランですので、ぜひ覗いてみてください。
     ▼
    こちらのツアーは問合せも増えてきていてもう一息で催行決定しそうです。ご興味ある方は是非よろしくお願いします。
     1月に積雪情報をアップしていましたが、最新の状況に更新しておきます。


●オーストリア
ヒンタートゥックスゴンドラ山頂駅からオルペラー方面を眺める ツィラータール・スパー・スキー
-ツィラータールアリーナ160㎝(1/25)、190㎝(2/21)
-マイヤーホーフェン95㎝(1/25)、135㎝(2/21)
-ヒンタートゥックス215㎝(1/25)、245㎝(2/21)
-ホッホツィラータール204㎝(1/25)、230㎝(2/21)


オーバーグルグル、ホーヘムートアルムより エッツタール
-ゼルデン206㎝(1/25)、267㎝(2/21)
-オーバーグルグル155㎝(1/25)、171㎝(2/21)
-ホッホエッツ80㎝(1/25)、120㎝(2/21)
-キュータイ63㎝(1/25)、100㎝(2/21)


ステューバイ氷河
-145㎝(1/25)、205㎝(2/21)


セルファウス=フィス=ラディス
-95㎝(1/25)、130㎝(2/21)


スキー・アールベルグ
-サンクト・アントン/ステューベン145㎝(1/25)、270㎝(2/21)
-レッヒ/チュルス190㎝(1/25)、255㎝(2/21)
-ヴァルス/シュロッケン130㎝(1/25)、195㎝(2/21)


●イタリア
ドロミテ・スーパー・スキー
-ガルデナ谷80㎝(1/25)、100㎝(2/21)
-クロンプラッツ140㎝(1/25)、110㎝(2/21)
-シウジ高原60㎝(1/25)、80㎝(2/21)
-アルタバディア70㎝(1/25)、100㎝(2/21)
-マルモラーダ160㎝(1/25)、160㎝(2/21)
-コルチナ・ダンペッツォ60㎝(1/25)、80㎝(2/21)


●スイス&フランス
ツェルマット・マッターホルン・グレイシャー・パラダイス
-110㎝(1/25)、120㎝(2/21)


ポルトデソレイユ
⁻モージン(スイス)80㎝(1/25)、110㎝(2/21)
-アヴォリア(フランス)187㎝(1/25)、240㎝(2/21)


シャモニー=モンブラン
-グランモンテ103㎝(1/25)、130㎝(2/21)
-ルズーシュ75㎝(1/25)、70㎝(2/21)


ティーニュから望めるモンブラン エスパス・キリー
-ティーニュ160㎝(1/25)、190㎝(2/21)
-ヴァルディゼール122㎝(1/25)、140㎝(2/21)
     年末はヨーロッパに寒気がおりていて、降雪が多かったようですが、最近は小康状態の様です。代わって日本に北極の寒気がおりてきているようですね。日本が一段落するとまたヨーロッパに雪が降るのかどうかというところです。


     さて私が感じたヨーロッパの降雪の傾向をお伝えしようと思います。オーストリア、スイス、フランスはヨーロッパアルプスの東北西側にそれぞれ位置していますが、イタリアはアルプスの南側なので、晴天率は高い半面降雪が少ないと思います。例えばイタリアのドロミテ周辺は現在平均100㎝程度の積雪ですが、100㎝あれば十分良いゲレンデコンディションに仕上げてくれます。日本と比較すると湿度が低いため雪が解けにくく、削れやすい斜面の滑り出し部分には人工降雪機を設置してカバーしたり、日本の圧接技術と比べてみると素晴らしい技術で毎日ゲレンデをパックしてくれています。例えば平均積雪60㎝のシウジ高原の状況をウェブカムでご覧ください!


     それから降雪が多いと感じるのが、アルプスの東側オーストリアのアールベルグ・エリアです。その分晴天の多いイタリアに比べると吹雪いたりする日も多いのですが、新雪をお楽しみいただけるチャンスが多くなります。アルプスの西側フランスのエスパス・キリー・エリアも降雪が多く新雪を存分にお楽しみいただけるチャンスがあります。


それでは、walk-worldのページで取り上げている各スキーエリアの1/25現在の積雪状況をご報告しておきます。


●オーストリア
ヒンタートゥックスゴンドラ山頂駅からオルペラー方面を眺める ツィラータール・スパー・スキー
-ツィラータールアリーナ160㎝
-マイヤーホーフェン95㎝
-ヒンタートゥックス215㎝
-ホッホツィラータール204㎝


オーバーグルグル、ホーヘムートアルムより エッツタール
-ゼルデン206㎝
-オーバーグルグル155㎝
-ホッホエッツ80㎝
-キュータイ63㎝


ステューバイ氷河
-145㎝


セルファウス=フィス=ラディス
-95㎝


スキー・アールベルグ
-サンクト・アントン/ステューベン145㎝
-レッヒ/チュルス190㎝
-ヴァルス/シュロッケン130㎝


●イタリア
ドロミテ・スーパー・スキー
-ガルデナ谷80㎝
-クロンプラッツ140㎝
-シウジ高原60㎝
-アルタバディア7㎝
-マルモラーダ160㎝
-コルチナ・ダンペッツォ60㎝


●スイス&フランス
ツェルマット・マッターホルン・グレイシャー・パラダイス
-110㎝


ポルトデソレイユ
⁻モージン(スイス)80㎝
-アヴォリア(フランス)187㎝


シャモニー=モンブラン
-グランモンテ103㎝
-ルズーシュ75㎝


ティーニュから望めるモンブラン エスパス・キリー
-ティーニュ160㎝
-ヴァルディゼール122㎝
     今日もヨーロッパのハイキング・ルートについて書いてみたいと思います。まず最初は日帰りハイキング・ルートです。walkworldで特に得意にしている地域があります。オーストリア・チロルイタリア・ドロミテフランス&スペイン・ピレネーの3地域です。もちろんこの他にもスイス・アルプスシャモニー周辺イタリア・アオスタなどの地域も手配、ご案内させていただいてきておりますが、今回は特筆して3地域のハイキング・ルートを写真を多めに使用して既にブログにしたものをご紹介してゆきます。
     通常旅行会社ではヨーロッパ・ハイキングについてここまで詳しくフリーでご紹介することはなかったと思います。やはりそのような情報が私達の糧となってこのビジネスをさせていただいているからです。
     ただこのコロナ禍で過去に撮り貯めていた写真を眺めていると、これらがただ色褪せていくだけなのがもったいないなぁ、それにどこも大好きな場所だから、もっともっと多くの日本の人たちに見て、体験して頂けたらなぁなどと考えるようになりました。
     ヨーロッパのハイキング旅行の企画・手配は、これまでもずっと私のメインの仕事ですので、この記事をご覧になってご依頼いただければとても嬉しく思いますが、ご依頼いただけなくても興味を持っていただけるだけでも嬉しく思えるようになりました。
     これらの情報をもとにして私達の手配なくても個人旅行している方はたくさんいらっしゃいますので、その人たちは是非ご参考にしていただいたらと思います。(※旅行手配依頼なしの質問だけというのはご勘弁ください!参考はこの記事にとどめて下さい!)
     またそれでも私達に旅行手配のご依頼をいただけるのでしたら、私達がこれまで培った現地ネットワークも駆使して、さらに最新の詳しい情報などをご提供できるものと思います。
     いずれにしましても、これらの場所へご旅行していただいて、お楽しみいただけることが、私達が一番やりたいことだということです。
     それでは、紹介ページのリンクを箇条書きにしてゆきます。どのコースも何度でも歩きたくなるような素晴らしいルートです。


     またロングトレイルで利用いただける山小屋の詳細を記していますので、
      ▼ご参考にしてみてください。
     ヨーロッパの山小屋について
     ヨーロッパの山小屋について Part.2
     ドロミテで最も有名なハイキング・ルートをご紹介します。トレ・チーメ・ディ・ラヴァレード/Tre Cime di Lavaredo(伊語)またはドライ・チンネン/Drei Zinnen(独語)3つのピークの岩山が聳え立つ独特の場所で、3つのピークは、東側からチーマ・ピッコラ(2857m)/Cima Piccolaチーマ・グランデ(2999m)/Cima Grandeチーマ・オーヴェスト(2973m)/Cima Ovestとなっています。有名なよく見かける写真は東側が写真左側にあたります。
     ハイキングは、オウロンツォ小屋(2320m)/Rifugio Auronzoの下にある駐車場から始まります。ここはトレ・チーメの南側に位置しますので、南→東→北→西→南というようにぐるっと一周します。最初東側へ延びる林道は幅が広く40分ほどで二つ目の山小屋、ラヴァレード小屋(2344m)/Rifugio Lavaredoの前を通ります。ここから標高差100m、約2-30分ほどを登るのですが、左手が登山道右手が林道になっていて、左側の方が勾配がきつくなっています。登りきったところがフォルチェッラ・ラヴァレード(2454m)/Forcella Lavaredoと呼ばれ、ここからのトレ・チーメは最も近く迫力ある記念撮影が可能です。

     ここからは右手にパテルノ山(2744m)/Monte Paterno(伊語)パッタンコーフェル山/Patterkofel(独語)のふもとの登山道を北側のロカテッリ小屋(2450m)/Rifugio Locatelli(伊語)、ドライ・チンネン小屋/Dreizinnenhutte(独語)へ向け約40分ほど歩きます。  この小屋付近から見たトレ・チーメの写真が最も有名な写真です。小屋の裏側(北東側)にはピアニ湖という湖もあり、とても寛げる場所でもあります。タイミングが良ければ6月中下旬~9月上旬の間は、小屋内のレストラン営業もしているので、ランチも可能です。


     最後山小屋からは、もう少し登り、メッツォ峠(2315m)/Col de Mazzoを越えてオウロンツォ小屋(2320m)/Rifugio uronzoへと戻ります。
     ちなみに山小屋の表記でもイタリア語のみのところはヴェネト州に属する以前からイタリアの場所で、ドイツ語表記もあるところは第1次世界大戦前までオーストリア・チロル州だった場所です。こんな標高2000mを越える山岳地帯が戦争の最前線だったそうです。


     ▼こちらにハイキングコースの地図をあげておきます。
     トレ・チーメ一周ハイキング
     所要:約4時間、距離:9.7 km、標高差:登り/下り404 m
     TRE CIME HIKING MAP
     ※オウロンツォ小屋からロカテッリ小屋までの往復だと‐30分ほどで、
      フォルチェッラ・ラヴァレードまでの往復だと-1.5時間ほど短縮して歩けます。




     ひとつ前のブログでご紹介したプティア山の西側に走るフネス谷※5、迫力あるオドレ山群※6の麓を歩き、南チロル料理も堪能できるハイキングルメ・ルートがあります。
     レンタカーがあれば、フネス谷の最奥(東奥)にあるザネス小屋駐車場(1680m)目指しましょう。路線バスならブレッサノーネ※7駅から約1時間でザネス小屋までアクセス可能です。路線バスは朝9:17着~18:17着まで1時間に1本あります。フネス谷に宿をとってもブレッサノーネに宿をとってもアクセスは簡単です。
     ハイキングは、ここから東へ歩き出しマルガ・ガンペン小屋(2026m)※1へ。標高差が約300m以上ありますので、約1時間30分ほどで歩けます。山小屋で小休止の後、今度は西へ向きを変え、迫力あるオドレ山群の麓を歩いてゆきます。約2時間ほどかけてマルガ・カスナーゴ小屋(2006m)※2オドレ小屋(1996m)※3がある開けた牧草地を目指します。途中オドレ山群直下のザレ場を歩きますが、ところどころ展望の良いところがありますので、展望を楽しみながらのハイキングになることでしょう。
     そしてマルガ・カスナーゴ小屋周辺からオドレ山群の展望は、このルート最高の写真スポットになります。マルガ・カスナーゴ小屋オドル小屋は5分くらいのところにあります。さらに30分ほど下っていくとデュッスラー小屋(1782m)※4があります。このあたりまで下りてくると森の中の小屋になりますが、それでも視界を木々に遮られることなくオドル岩峰の雄姿を楽しませてくれます。最後はさらに40分ほど下り、スタート地点のザネス小屋駐車場に戻ります。
     ▼こちらにハイキングコースの地図をあげておきます。
     所要:約4-5時間、距離:12.4 km、標高差:登り/下り594 m
     オドレ山群・ハイキングルメ・マップ
     ※短いルートも可能です。
    【寄り道スポット】
     ザネス小屋から路線バスに乗って20分ほどするとサン・マッダレーナ※8・フィラー/S.Maddalena Fillerバス停に止まります。
     フネス谷の路線バス2021年時刻表
    ここから歩いて20分ほど(オドレ山群と道を挟んで反対側)のところに、オドル山群を撮るには一番の日本でも有名なスポットがあります。またこの場所はオドレ山群の西側に位置していて、午前中だと逆光になるので、是非ハイキング後、午後の遅めの時間に訪れてみてください!※このブログタイトル上の写真がそこからの写真です。
     それからバス停近くに、フォンタフォン&ニーダーステッター/Vontavon & Niederstätterという村の小さなスパーマーケットがありますが、ここで売ってるシュペック(燻製ハム)は安くて味も絶品でした!バス待ちの時間があればお勧めです。
     さらに西側のサン・ピエトロ※9には、この谷一番の美味しいレストランがあります。
     レストラン・ピゾック/Restaurant Pitzock  オーガニックにこだわるフネス谷“スロー・フード”レストラン。シェフのオスカー・メスナー/Oskar Messnerさんの作る料理は見た目は美しく、味は繊細でいつもお腹だけじゃなくて心も満たしてくれます。特に新鮮なラム肉は、美味しいと評判です。

●山小屋のご案内
  • ※1 マルガ・ガンペン小屋/Malga Gampen(イタリア語)(2062m)
  • ガンペン・アルム小屋/Gampen Alm(ドイツ語)

  • ※2 マルガ・カスナーゴ小屋/Malga Casnago(イタリア語)(2006m)
  • グシュナーゲンハード・アルム小屋/Guschnagenhardt Alm(ドイツ語)

  • ※3 オドレ小屋/Rifugio Odle(イタリア語)(1996m)
  • ガイスラー小屋/Geislerhutte(ドイツ語)

  • ※4 デュッスラー小屋/Dusslerhuette(1782m)

  • ●南チロル郷土料理について  
  • シュッテルブロートバンドヌーデルン/Schüttelbrotbandnudeln
  •  シュッテルブロートというライ麦で作られた硬くてパリパリのパンを一度つぶして粉にして、再度その粉を生地にして平麵にしたのがこのシュッテルブロートバンドヌーデルンなのです。下の写真はホテル・ウティア・ド・ボルツの夕食時のもの。
     
  • シュルツクラプフェン/Schlutzkrapfen
  •  ライ麦と小麦粉から作られる生地のラヴィオリでほうれん草とリコッタチーズが餡。下の写真はレストラン・ピゾックの昼食時のもの。
     
  • ブックヴァイツェンラヴィオリ/Buchweizen-Ravioli
  •  蕎麦粉とセモリナ粉から作られたラヴィオリで餡はポテトで、トマトソース。下の写真はホテル・ウティア・ド・ボルツの夕食時のもの。
    ●地名の表記(文章内の地名はすべてイタリア語で統一しています。)
  • ※5 フネス谷/Val di Funes(イタリア語)
  • フィルネッサータール/Villnoessertal(ドイツ語)

  • ※6 オドレ山群/Odle(イタリア語)
  • ガイスラー山群/Geisler(ドイツ語)
  • オドレス山群/Odles(ラディン語)

  • ※7 ブレッサノーネ/Bressanone(イタリア語)
  • ブリクセン/Brixen(ドイツ語)

  • ※8 サン・マッダレーナ/San Maddalena(イタリア語)
  • ザンクト・マグダレーナ/St.Magdalena(ドイツ語)

  • ※9 サン・ピエトロ/San Pietro(イタリア語)
  • ザンクト・ペーター/St.Peter(ドイツ語)
    •  今回ご紹介するコースは、日本語で紹介している本など見たことがなく、しかし私にとってはとても大好きなコースなので、是非詳しく紹介してみたいと思い纏めてみました。是非ご覧ください。
       東側にはバディア谷、西側にはフネス谷を見下ろすプティア山※1は、ドロミテの北部に位置する独立峰です。山の北側にあるエルベ峠※2から歩き出し反時計回りに回るコースをご紹介します。
       ご紹介前にご説明しておかないといけないことがあります。この地域はドロミテの中でも特異な場所で、古くからこの土地の言語であるラディン語、現在ここはイタリアなのでイタリア語、そしてかつてはオーストリア、チロル州の一部であったため、今でもドイツ語を話す人が最も多く住んでいます。その為、道路標識も3言語で書かれていることが多く、地名も3種類あることが多くあります。
       今回はイタリア語で統一して書いていきたいと思います。地名の後に※数字を表記しているものは下記でご説明しています。
       まずこのエルベ峠には道路を挟んでプティア山の反対側(北側)に3星ホテル、ウティア・ド・ボルツ/Utia de Borzがあります。ウティア/Utiaという単語はラディン語で、山小屋に使われています。このホテルも山小屋風ということなのですが、ホテル内はとてもきれいで快適で、食事もとても美味しく、さらに真正面にはプティア山の迫力ある絶景があります。日本では全くと言っていいほど知られていませんが、私のお勧めの宿です。

       それでは今回の主役の山、プティア山(2875m)、ハイキングの始点はその北側に位置するエルベ峠(2006m)です。まず最初の歩き始め直ぐの場所にプティア山をきれいに望める場所がありますので、是非ここで写真を1枚撮っておきましょう。そして、広めの林道を進みムン・ド・フォルネッラ小屋/ Munt de Fornella(ドイツ語・イタリア語)(2080m)まで緩やかに登ってゆきます。正面にはプティア山が望めます。山小屋のあるところから林道は左右に分かれています。今回は反時計回りなので、右へ進みます。10分ほど歩くと林道から登山道に変わります。
       ここから峠のフォルチェッラ・ド・プティア(2357m)※3までプティア山西麓の登山道、標高差約330mを約1時間少しかけて登ってゆきます。後半勾配がきつくなる付近は、7月くらいはまだ残雪があることも多く、足元には気を付けましょう。また途中振り返るとオーストリア・チロルのツィラータールの山々も望めます。
       峠のフォルチェッラ・ド・プティアで一息つきましょう!ここからはプティア山南東麓に広がる高原、バディアの谷プエズ山群などとても素晴らしい眺めを楽しめます。ここからマルガ・ヴァラキア※4を経てゴマ分岐までの眺めはこのルート最大の魅力です。
       ここから3方向に道は分かれます。左はプティア山登頂ルート、右はジェノヴァ小屋※5を経てフネス谷へ下るルート、直進が今回の1周ルートになります。ガイスラー山群の尖った峰々を眺めるには一度ジェノヴァ小屋方面へ進み、途中から1周ルートに戻る道もあります。
       それでは直進ルートですが、最初1㎞ほど下った後はなだらかな林道を進みます。休憩から1時間ほどで、マルガ・ヴァラキア(2090m)に到着します。こちらではランチを提供してくれますので、ここでランチをする行程を組むのが良いでしょう。
       ランチの後は北東へ進みゴマ分岐(2101m)から左(北西)へ向きを変えウティア・ド・ゴマ/Utia de Goma(2030m)を経由し、最初の分岐にある小屋、ムン・ド・フォルネッラ(2080m)まで戻ってきます。ここまでは比較的緩やかな登り下りを繰り返す歩きやすいルートです。
       最後はホテル・ウティア・ド・ボルツへ最初来た林道を戻ってゆきます。
       ▼こちらにハイキングコースの地図をあげておきます。
       所要:約5-6時間、距離:13㎞、標高差:登り/下り555m
       PASSO DELLE ERBE HIKING MAP


     

    ●地名の解説
      ※1 エルベ峠(2006m)
    • パッソ・デッレ・エルベ/Passo delle Erbe(イタリア語)
    • ヴュルツヨッホ/Würzjoch(ドイツ語)
    • ジュ・ド・ボルツ/Ju de Börz(ラディン語)
      ※2 プティア山(2875m)
    • サス・ド・プティア/Sass de Putia(イタリア語)
    • パイトラーコフェル/Peitlerkofel(ドイツ語)
    • サス・ド・プティア/Sas de Putia(ラディン語)
      ※3 フォルチェッラ・ド・プティア(2357m)
    • フォルチェッラ・ド・プティア/Forcella de Putia(イタリア語)
    • パイトラーシャルテ/Peitlerscharte(ドイツ語)
      ※4 マルガ・ヴァラキア(2090m)
    • マルガ・ヴァキアラ/Malga Vaciara(イタリア語)
    • ヴァキアラ・アルム小屋/Vaciara Almhutte(ドイツ語)
    • ウティア・ヴァラキア/Utia Vaciara(ラディン語)
      ※5 ジェノヴァ小屋(2306m)
    • ジェノヴァ小屋/Rifugio Genova(イタリア語)
    • シュレター小屋/Schlüterhütte(ドイツ語)
     前回の記事、”ヨーロッパの山小屋について”に引き続き、私がお勧めする山小屋をさらに具体的に紹介させていただきます。各山小屋名をクリックすると、その山小屋のホームページにリンクしています。記載している山小屋以外にも素敵なほんとうに山小屋はたくさんあります。こうやって纏めていると早くまた行きたくなりますね。
    オーストリア、チロル
  • ゾールシュタイン小屋(1805m)
    •  私が夏の間いつも滞在していたゼーフェルトから近い山小屋で何度もお世話になりました。ロバートさんとジェニーさん夫妻が管理する 山小屋で、とても暖かく出迎えてくれます。山小屋はかなり改築も進んでいて山小屋と思えないほどきれいな内装で、扉の気密性も高いので、1階ダイニングの会話音は、上階の寝室まで届かないようになっていて、早目の就寝でも快適にお休みいただけます。ノルトケッテ山脈西側にあるグローサー・ゾールシュタイン(2541m)の麓に建つ山小屋で、テラス席からは、イン谷やステューバイ氷河などを見下ろす景色が素晴らしい。夕食後の夕暮れ時は、テラス席でビールを飲みながら語り合う仲間同士の姿が多くみられます。またロバートさんは親日派で東日本大震災の時は寄付もしていただいています。
  • ベルリナー小屋(2042m)
    • 1879年開業のとても歴史ある石造りの大きな山小屋です。この山小屋の魅力は何といってもツィラーターラーアルペンの3000m超の峰々と真近に迫る迫力ある氷河の大展望です。ヴァクセック氷河とホルンケース氷河、ヴァクセック氷河の背後にはツィラーターラーアルペン主峰のグローサー・メーゼラー(3480m)が聳えています。
      この山小屋を利用するプランはこちら!
    イタリア、ドロミテ
  • プラットコーフェル小屋/サッソピアット小屋(2300m)
    • 2016年に改装しています。10年ほど前から通っていますが、改装前から十分きれいな山小屋でしたが、現在はホテルのようにさらに快適になっています。部屋は8-10名様収容のドミトリーから2-6名様収容の個室があります。場所はヨーロッパ最大の高層牧草地シウジ高原の南東に位置していて、山小屋名にもなっているプラットコーフェル山/サッソ・ピアット山(2969m)の麓にあります。テラスからはそのシウジ高原全域が見渡せとても開放的です。また東の方向に目を向けるとドロミテ最高峰マルモラーダ(3343m)の氷河も望めます。オーナー婦人のペトラさんはとてもフレンドリーで、若いスタッフたちもとてもよく教育されていて、山小屋ではとても快適に過ごせます。
  • ラヴァレッラ小屋(2050m)
    •  ドロミテのファネス谷の静かな場所に佇むこの小屋は、スタッフにはワインソムリエとビールソムリエがいて、山小屋内に地ビール醸造所もある拘りのまさにグルメ山小屋なのです。またこの土地はラディン文化というとても古い土着文化が今も残り言葉もラディン語、ドイツ語、イタリア語の3通りで表記されていて、同様に食文化も3つの良いところを取り入れているため、チロルとラディンのしっかり系のボリュームと味付けとイタリアンのフレッシュで自然な味付けが融合されていて、私の私見になりますが、一番好みの食文化と言えます。ロケーションも名峰や氷河といった見どころはないもののファネス谷は2000mを超える標高の高い谷なので、とても静かでとても癒されます。
      この山小屋を利用するプランはこちら!
    フランス、ピレネー
  • エスピュゲッタ小屋(2027m)
    •  ガヴァルニー村から南へ行くとガヴァルニー圏谷ですが、圏谷を正面に見て左側(東側)へ標高差700mを登っていくと、高原状になっていて、この山小屋があります。ここからはガヴァルニーや下の建国からは見えない、スペインとの国境にある「ブレシェドロラン/ロランの裂け目」の展望があります。またここからさらに北東にはプティ・ピメネ山(2667m)、ピメネ山(2801m)があるので、早く山小屋に着いた場合は、ここに登るのをお勧めします。
    スペイン、ピレネー
  • ゴリッツ小屋(2200m)
    •  フランス側からスペイン側へと国境越えのハイキングをする時には必ず宿泊する山小屋です。スペイン側の壮大なオルデサ渓谷の景観を見下ろせる場所にある山小屋で、周辺では羊の放牧が盛んなので、数多くの羊に出会えます。こちらは国境越えの縦走歩きのハイカーも、石灰岩質の山ヨーロッパ最高峰のモン・ペルデュ(仏語)/モンテ・ペルディード(西語)登頂を目指す登山家のベースとしても利用されるため予約の取りにくい山小屋と言えます。山小屋の設備も質素で、最低限の設備となっています。
      この山小屋を利用するプランはこちら!
    イタリア、アオスタ
  • エリザベッタ小屋(2195m)
    •  ツールドモンブランを歩いた人に一番良かった山小屋は?と聞くと多くの人がこのエリザベッタ小屋を挙げます。食事が美味しいのは当然で山小屋からはモンブランから流れ出る大迫力のグラシエ氷河の展望があり、見下ろすと美しいコンバル湿原をの展望があります。またモンブランに最も近いイタリア側の町、クールマイユールからもとても近いためツールドモンブランを歩いていない人も宿泊に来る山小屋で、モンブラン周辺では一番人気の山小屋なので、宿泊される場合は必ず予約が必要ですが、シーズン中は結構満室です。
      この山小屋を利用するプランはこちら!
  • シャリーン小屋(1943m)
    •  ツールドファッレーレのルート上にあり、2006年に古い山小屋を改築しているのでとてもきれいな山小屋です。ドミトリーの部屋内にもそれぞれ洗面所、トイレ、シャワーがあるのでとても便利です。充電できる電源もあります。また小屋からはモンテ・チェルビーノ/マッターホルンなどスイスとイタリアの国境に聳える4000m級の名峰が眺められます。また山小屋正面でオーナー親戚家族が200頭の牛を飼っていて、そのミルクから作る美味しいDOCフォンティーナチーズが食事にも出してくれるのが嬉しい。また事前にチーズ小屋を見学したいというと案内してくれ、乳絞り体験も体験できるかもしれません。
      この山小屋を利用するプランはこちら!
    スイス
  • フルアルプ小屋(2620m)
    •  山小屋というよりも山岳ホテルと呼んだ方がいいでしょう。食事があまりぱっとしないスイスの中ではとても美味しい食事を提供してくれます。部屋もドミトリーから個室まであります。この山小屋の魅力は何といってもマッターホルンを真正面に眺められることです。さらに少し下るとシュテリー湖(2537m)があり、天気のいい朝は、一般ハイカーで賑わう前に、湖に映る逆さマッターホルンを静かにご覧いただける可能性があります。

      この山小屋に立ち寄るプランはこちら!
    ■他にも山小屋について書いたお勧めの記事です
    ヨーロッパの縦走路/ロングトレイルについて
       いつもこの時期は、ヨーロッパの手配で忙しくしていたり、お客様の引率をしていたりと忙しくしていました。去年と今年はとても残念ですが、海外へも行けずに妄想するしかありませんね。そこでこれまでヨーロッパ・アルプスのオーストリア・チロル地方、イタリア・ドロミテ地方、イタリア・アオスタ地方、スイス・アルプス、フランス・シャモニー周辺、フレンチ・ピレネー地方、スペイン・ピレネー地方と色々な国で、多くの山小屋を利用させていただいた経験から2回にわたって山小屋についての記事を書かせていただきます。
       ただヨーロッパにある全ての山小屋を利用したわけではないので、どこの山小屋が本当に一番なのかなどとは語ることができませんが、あくまでも私の主観で感じた、これまで利用した山小屋の詳細やイメージ、楽しかった過ごし方などを書かせてもらおうと思います。
       それではヨーロッパの山小屋に関して具体的に書いていきたいと思います。
      ■山小屋の部屋タイプ
    • ドミトリータイプ(男女相部屋の場合もございます):マットレス、ベッド(2段ベッド含む)、毛布と枕はあります。
    • 個室タイプ:シャワー付きの2人部屋から2段ベッドなど数個設置され10人部屋くらいまで様々です。
    •  ※ヨーロッパの山小屋をご利用の場合、利用者がそれぞれシーツ(インナーシーツ、寝袋状のもの)を持参することが礼儀となっております。これは寝具を汚さないようにするマナーの為です。日本の旅行会社によっては、そこまで詳しくお客様への持参要請をしていないところが多いのですが、ヨーロッパでは持参するのが当然のことで、持参していなければとても失礼なことだということを予め覚えておく必要があると思います。※ただしシーツのサービスがある個室ご利用の場合は持参不要です。

      ■山小屋の設備
    • トイレ:各階に2~3個あるところが多い。収容人数に比べるとそんなに多くはない。
    • シャワー:多くの山小屋で石鹸や歯磨き粉もご使用いただけます。(有料:3~5euroくらい/約5分、フロントでトークン(コイン)を購入してそれを投入しシャワーが起動するところが多く、数分シャワーが流れて、数分休み(その間に体を洗う)、再度数分流れるシャワーもあります。)

    • 洗面所:多くの山小屋で石鹸や歯磨き粉もご使用いただけます。

    • 乾燥室:濡れた雨具や群れた登山靴を乾燥してくれます。
    • ※こちらは乾燥室ではありませんが、乾燥室内も同様のイメージです。
    • 電源:電源はどこも多くはないので、仲間でたこ足コンセントを用意すると便利です。

    • WIFI:山小屋によっては有料でWIFIを飛ばしているところもありますので、予めご確認ください。ただしWIFI回線はとても弱く、画像などUPができないことが多いです。
    • 山小屋によってサウナを設置しているところもあります!

      ■山小屋の食事
    • 夕食は、ほとんどの場合コース料理(前菜またはスープ+メイン+デザート)
    •  ※ピレネーなどでは、グループ毎に大皿や大鍋で配膳されて、各自取り分けなければならないことが多いですが、チロルやドロミテでは個々に皿に盛り付けられて配膳されるところが多いです。ただし例外もございます。
       ※ビールやワイン、ノンアルコール飲料などは別料金で販売されています。日本の山小屋の料金と比較するとアルコール飲料は半額くらいのところが多いです。標高が高いところが多いので飲みすぎに注意しましょう!


    • 朝食はほとんどの場合、コールドビュッフェとなります。ただし例外もございます。
      ■山小屋での過ごし方
    • 受付(チェックイン)山小屋スタッフに予約名を告げ、山小屋によっては山小屋での個人追加支払用(飲料代など)の伝票になるオーダーカードを配ってくれるところもあります。このオーダーカードを使ってチェックアウト時または就寝前に精算することになります。また多くの山小屋は室内履きに履き替えますが、人数分の用意をしているところが少ないため、室内履きを持参することをお勧めします。
       一度ギターが弾けた私はスペインの山小屋のバルコニーで日本人とスペイン人総勢30名くらいで夕食後に大合唱したことがありました。またある山小屋では、日本人のマッサージは欧米よりも強めで山小屋スタッフは経験が少なく、試しにスタッフに肩もみをしてあげると、とても気に入ってもらいお酒を奢ってもらって盛り上がったこともあります。こんな山奥でも文化交流ができるのは山小屋を利用する一番の特典ではないでしょうか?

    • チェックイン後~シャワー日本のグループは15~16時くらいに山小屋に到着することが多く、夕食は18時(ピレネーは19時)くらいからなので、それまでの間、濡れた衣服を乾かしたり、シャワーを浴びて寛いだりできますが、多くの場合、小休止の後は、日本人に限らずどのグループもダイニングに集まって宴会のようになって楽しんでいるところをよく見かけます。シャワーのない山小屋では持物リストで上げているウェットティッシュよりも大きく丈夫な「赤ちゃん用のおしり拭き」がお勧めです。

    • 夕食飲み物は宿泊料金(1泊2食付)に含まれておりませんので、別途注文して、オーダーカードがある山小屋では、スタッフに注文したものを記入してもらいます。

    • 消灯消灯時間は22時のところが多いのですが、日本人の方は少し早く21時くらいに寝られることが多いです。

    • 起床日本人のお客様は時差のせいもあって、早く寝るため起床も早くなる傾向にあります。早く起きてごそごそとナイロン袋の音をさせたりしているとほかのお客様(相部屋の場合)にとても迷惑をかけてしまいます。もし早く起床してしまった場合は、上着を着て外に出てください。山小屋でしか見れない素晴らしい朝の景色に出会えます。

    • 朝食コールドミールビュッフェのところがほとんどで、山小屋スタッフが配ってくれるところもあります。

    • お弁当、ピクニック山小屋に前日リクエスト(有料)しておいて、翌朝受け取るか、日本からアルファ米などの持参のお勧めします。アルファ米は水でも戻るので、私もよく「おこわ」などを持って行っていました。ただし道中山小屋が営業している個所もあります。その場合は、山小屋で温かい料理をいただけます。

    • チェックアウト部屋に忘れ物がないかチェック。ごみを放置してゆかないことも当然のルールです。

      ■山小屋宿泊時の持物リスト ※通常山行準備リストにあるものは含めていません。
    • インナーシーツシルク製は高額ですが軽量で小さいので持ち運びやすい。
    • 室内履きスリッパなど、私の場合はクロックスです。
    • ヘッドランプ夜間の山小屋内移動に便利です。
    • たこ足コンセントグループで1つでいい。
    • アルファ米翌日お弁当が必要な場合は、お勧めです。
    • タオルシャワー用、私の場合大きめのスイミングタオル(速乾性)を使用しています
    • ウェットティッシュ私の場合、赤ちゃん用のおしり拭きが丈夫で気に入っています。
    • 充電器充電器電源がない山小屋もありますので、充電が必要な方は充電器のご持参をお勧めします。
     次回はヨーロッパ各地にあるお勧めの山小屋について具体的に書いてみます。
      ▼
     ヨーロッパの山小屋について Part.2はこちら!


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