今回はシチリア島北東部にある世界遺産『エオリア(エオリエ)諸島』について書いてみたいと思います。エオリア諸島は主にリパリ島、サリナ島、ヴルカノ島、ストロンボリ島、パナレア島、フィリクデ島、アリクディ島の7島からなっています。
     エオリア諸島は火山の島々なのですが、火山の種類は主に周期的にマグマを噴出するストロンボリ型噴火と単発で大規模な噴火をするヴルカノ式噴火など(ほかにもハワイ式噴火、プリニー式噴火などがあります)に分かれるのですが、その中の代表的なふたつがこのエオリア諸島に存在します。
     まずエオリア諸島の中で一番南のシチリア島に最も近い島がヴルカノ島で、一番北側にあるのがストロンボリ島で、以前このふたつの島を訪れました。
     ヴルカノ島はシチリア島北部のミラッツォ港から高速艇に乗って約1時間でアクセスできます。ヴルカノ島の標高386mのメインクレーターのあるグラン・クラテーレ山に登れ、クレーターの周りを歩くことができます。このハイキングは往復3時間ほどで、強い硫黄の臭いを感じながら気軽に今まさに活動中の火山を観察しながら歩くことができます。また下山後に時間があれば高速艇発着場所の反対側に泥の温泉がありますので、体験してみてはいかがでしょうか?肌がスベスベになるそうです。(入場料:3ユーロ)
     次はさらに高速艇に乗ってストロンボリ島へ向かいます。所要時間は高速艇で約1.5時間です。
     この島は火山ハイキングで最も迫力ある火山活動が観察できます。ストロンボリ火山の標高は918mあります。夕方火山ガイド事務所前に集合しグループ毎に分かれて間隔をあけて順番に歩きだします。標高差が900mほどありますので、登りだけで3時間以上要しますが、それだけかけて登る価値は十分にあります。ひたすら上り続けて山頂直下(約830m付近)でピクニック夕食を食べながら順番を待ちます。順番が来れば頂上の噴火口の観察場所へ火山ガイドと共に向かいます。このストロンボリ火山の噴火口は頂上より下にあるため、頂上からは見下ろせるようになります。かつてストロンボリは『地中海の灯台』とも言われ約2500年もの間約15分に1回の割合で溶岩を噴き上げています。その15分に一度の噴火を眼下に見に行くのです。下山は登りと異なるルートで、火山灰の上を須走で下山してゆきますので、登りより短い時間で下山できます。
     ただ2019年の強い噴火後、この頂上へのハイキングツアーは中断されています。ただこの頂上へ行くハイキング以外にも、反対側の溶岩流を望める場所へのもう少し簡単なハイキングもあります。
     ハイキングのスタート時間が遅いため、午前中の時間を弄びそうですが、この時間は貸切ボートで島の反対側のジノストラ集落に立ち寄る島一周クルーズをお勧めします。
     ジノストラ集落は建物が点在していて、とても長閑な雰囲気が漂っています。できるなら部屋を1週間くらい借りて何も考えずに過ごしたいと思わせるようなところです。再度貸切ボートに乗船して島の反対側から煙が上がる噴火口を下から眺め、ストロンボリの町に戻る前、ストロンボリの正面にあるストロンボリッキオという小島に接近して、かつての海軍の灯台を見て戻ってきます。私が訪れたのは10月の前半でしたが、風が気持ちよくとても過ごしやすかったのを覚えています。
     最後にストロンボリの町は、ヨーロッパ各所から芸術家が集まる場所でもあって、ところどころにアトリエがあったり、カラフルな壁が並ぶ町中を散策するだけでもセンスいい可愛さに心惹かれることでしょう!